損益計算書の概要
1.損益計算書の全体構造
損益計算書の役割 : 「会社の経営成績を示す事」と「配当できる利益を計算する事」が目的である。
全体構造 : 「収益-費用=利益」
会計期間 : 「自 平成○○年○○月○○日 至 平成○○年○○月○○日」で表示し、法制度上、会社は1年間に最低1回損益計算を行う事となっている。
☆<Point>一般的な会社では、半期毎(上期・下期)に会計処理を行なっている。そうする事により、半期で一度経営状況の確認ができ、目標数値の修正(上方修正・下方修正)を行なう事ができる。ここでもP(計画)D(実行)C(確認)A(処置)サイクルの考え方が利用できる。月毎に会計処理を行っておく事により、半期での集計が楽になるが、経理部門の負担からもシステムの構築が必要になってくる。
詳細構造 :
(1)営業損益の部
・「売上高-売上原価=売上総利益」
・「売上総利益-販売費及び一般管理費(以下、販管費と略す)=営業利益」
(2)営業外損益の部
・「(営業利益)+営業外収益-営業外費用=経常利益」
(3)特別損益の部
・「(経常利益)+特別利益-特別損失=税引前当期純利益」
2.収益と費用
収益 : 会社に利益が発生するものの事。例としては、売上高・預金等の受取利息・土地売却等の有形固定資産売却益等が挙げられる。
費用 : 会社に損失をもたらすものの事。例としては、商品の仕入代金・販管費・借入金の支払利息等が挙げられる。
3.収益や費用の計上時点
損益計算書の考えは「収益-費用=利益」で、利益を上げたい時は、収益を増やすか、費用を減らす必要がある。会社は、利益を会計期間毎に計算するので、収益と費用をいつの時点で計上するかが重要になってくる。会計では、収益と費用の計上基準に、発生主義・実現主義・現金主義と呼ばれる3つの考え方がある。業種によっては、建設業等の長期の未完成の請負工事に関する収益の計上については、工事完成基準と共に工事進行基準が認められている。会計基準では、工事契約に関して、工事の進行途上においても、その進捗部分について成果の確実性が認められれば、工事進行基準を適用し、この要件を満たさない場合は、工事完成基準を適用する事となっている。
①発生主義の考え方
発生主義 : 現金が支払われていなくても会計期間内に発生した費用は、当期の損益計算書に計上される考え方。
会計方法は、個別的対応と期間的対応がある。
個別的対応 : 特定の商品や製品の収益と費用を関連付ける考え方。
期間的対応 : 会計年度を基準に、その期間の収益と費用を関連付ける考え方。
②実現主義の考え方
会社は商品を売ると現金・受取手形・売掛金等の貨幣性資産を受け取る。実現主義では、受け取った時点で収益とする。会計において、収益の計上は、費用の計上より慎重になる必要がある。それは「配当出来る利益を計算すること」に関係する為で、配当出来る利益の事を「処分可能利益」と呼び、処分とは「利益を株主へ配当金として支払ったり、積み立てたり、従業員へ賞与として支給したりする」事である。収益を早く計上すると、受取手形・売掛金では、その時点で手元に現金がある訳では無いので、会社は去年から貯蓄している現金を配当金に当てなければならない。費用は、発生時に計上するのに対して、収益は実現した時点で計上する事が必然になる。
③現金主義の考え方
現金主義は「現金」を扱った時点で収益と費用を計上する考え方である。現金主義では、商品が販売されて受取手形・売掛金の時点では収益として計上しない。(収益とみなさない)